最新のデータ管理の中心となる考え方は、次の2点を原動力として、データに基づくビジネスインサイトの生成を改善することです。
- データ分析のプロセスにアジリティをもたらす(通常、ITボトルネックを減らすセルフサービスの取り組みを通じて行う)
- あらゆる情報を分析プロセスで利用できるようにする
しかし、どのような組織でも、サプライチェーン管理やマーケティングオートメーションに加え、データウェアハウス、データマート、データレイクのような各種のデータシステムなど、ビジネスのさまざまな側面に焦点を当てた多数のアプリケーションやシステムを所有しています。
上記の目標を達成するには、このような複雑なデータ環境を効率的に管理する必要があります。最新のデータ戦略の最前線にあるのが、アジャイルなデータ統合、データディスカバリー、データセキュリティ、データガバナンスといったトピックです。
これらの要件を効果的に達成するために、次の2つのアプローチに目が向けられました。
- 物理的なデータ統合に基づく、集中型データ戦略
- 異種システム間でデータの見え方を統合する、論理データ戦略
論理データアーキテクチャ・管理により、複数の多様なデータソースにアクセスできるようになると同時に、ユーザーからは単一の「論理的」なデータソースに見えるようになります。論理データ管理は、データベース、エンタープライズデータウェアハウス、データレイクのような従来のデータソースや、アプリケーション、ビッグデータファイル、ウェブサービス、クラウドのような他のデータソースなど、複数のデータ管理システムで保存と管理が行われているデータを統合して、すべての分析ユースケースに対応しようというものです。
論理データ管理により、データの発見、アクセス、セキュリティ、統合、共有といった処理を、それぞれの物理的なソースシステムに対して直接行うのではなく、論理的な(仮想的な)表層に対して行えるようになります。ソースシステムの性質や場所、能力に関係なく、データの管理、統合、使用に関するポリシーや手法を一貫性をもって適用することが可能になります。
論理的なアプローチには明確な利点がありますが、特定のビジネスニーズを満たすためにモノリシックなアプローチが必要とされる場合もあるため、両方のアプローチをアジャイルなデータ管理戦略全体の一部として併せて導入することも可能です。
ビジネスの視点
- すべてのデータが1箇所で見付かる: 論理データレイヤーによりデータが一元化され、保存先がオンプレミスかクラウドかに関係なく、すべてのデータにリアルタイムでアクセスできるようになり、その際に意味論的な一貫性が保たれます。
- ビジネスに適したビュー: 論理データレイヤーにより、ビジネスに適したセルフサービスのデータのビューを簡単に作成することができます。これは、従来の複雑なデータの統合技術、フォーマット、プロトコル、保存場所の詳細を隠し、データをアクセスしやすく、使いやすいものにすることで可能になります。
- データ利用の促進: 技術に詳しくないユーザーでも簡単にデータの発見、アクセス、統合、共有が可能になります。データをモデル化するプロセスにビジネスの専門家が参加できるようにして、すぐに使用できるデータの作成に必要なサイクルタイムを短縮します。
ITの視点
- リアルタイムデータ: 論理データレイヤーにより、利害関係者が最新のデータにいつでも必要な時に必要なフォーマットでアクセスして、幅広いビジネスユースケースに対応できるようになります。データセットを更新するために毎晩のバッチ処理を待つ必要はなくなります。
- データの無計画な拡散や複製を減らす: 論理データレイヤーにより不要なデータ複製をなくすことで、アジリティを向上させ、リスクを軽減し、コストを削減することができます。
- 需要を迅速に満たす: 論理データレイヤーにより新規データセットのプロビジョニングが加速され、変化し続けるデータ要件への対応が可能になります。
- 一元化されたセキュリティとガバナンス: すべてのエンタープライズデータへのアクセスを一枚のレイヤーで引き受けることで、すべてのデータセットでのユーザーに対するセキュリティの適用とデータ制御の管理がはるかに容易になります。
論理データアーキテクチャ・管理というアプローチの導入を成功させるために必要な機能は、ただ1つです。
それはデータ仮想化です。データ仮想化とは、メタデータを活用して、すべてのエンタープライズデータへのリアルタイムのアクセスを実現し、さまざまなユースケースに合わせてデータの発見、カタログ化、プロビジョニング、結合、共有、管理を可能にする、データ統合とデータ管理の技術です。